別れる決心

以下にはネタバレがあります

愛っていつもそう。自分が相手を好きなのか、相手が自分を好きなのか、混乱することがある。どんなに自信があっても、小さな出来事ひとつで世界が簡単に崩れることもある。周りの人は意外と状況を正確に見抜くことができるけれど、当事者同士は情報がたくさんあるにもかかわらず、客観的な判断ができないことが多い。人がみんな少しずつ違うように、地球上の愛も同じものは一つもない。愛の抽象的な概念は比較的簡単に近づいてくるけれど、現実の愛はなかなか掴めないのがその理由だ。🌎💘


この映画は、監督の名前を消して見せてもすぐに「パク・チャヌクの映画だ」とわかるだろう。彼の知名度が表現方法を見分けられるほど高くなったと言えるし、ストーリーの進め方が独特で、ポケットの中の釘のように際立つのかもしれない。個人的には後者を支持したい。🎬

一般的に彼の作品のストーリーは平凡ではなく、進行はスピーディーだ。伝えたいものは明確だが、伝え方はユニーク。映画を観た後は、記憶に残るミザンセーヌがある。目を閉じると浮かんでくるいくつかのシーンの色彩は、まるでアート作品のように心に刻まれる。進行が荒くなく、シーンごとに緻密だ。この映画もそうだった。🎨✨

ヘジュンとソレは変死事件の担当警察と容疑者として初めて出会う。ひと目で恋に落ちた彼は、彼女を容疑者から外して事件のパズルを組み立てていくが、見れば見るほど彼女はファム・ファタールなのか、殺人者なのか、博愛主義者なのか、被害者なのか、あるいはそのすべてなのか、混乱するほどだ。そして偶然に事件の真実に直面し、崩壊してしまう ヘジュン。💔

その携帯は海に捨てて。深いところに落として誰にも見つからないようにして

礼儀正しく品位があり、自分の職業に誇りを持っているヘジュンが発したその言葉は、ソレには「愛してる」という言葉に聞こえる。しかし、堅物な彼は自分が本音を全て吐き出したことに気づかない。その後、彼は彼女を忘れようとし、彼女は彼を忘れられないまま時間が過ぎる。そして彼らは霧の街「イポ」で再会し、また別の殺人事件に巻き込まれることになる。🌫️


この映画は刑事物のように始まるが、実はラブストーリーだ。男性の愛は明確で確実だ。しかし、それに比べて女性の愛は曖昧で隠されており、外からは見えにくい。ソレは彼女の不幸で波乱に満ちた運命に現れた唯一の誠実な人、ヘジュンを愛したいと思うが、それが彼を崩壊させる道でもある。「イポ」で彼に出会った後、必然的に殺人を犯すことになった彼女は、ついに彼の人生に干渉せずに永遠に愛される方法を思いつく。💔🌫️

彼女が愛を実現する最後のシーンは、パク・チャヌクの作品のウォーターマークだ。鳥肌が立つそのシーンを見て、パク・チャヌク監督の映画『박쥐』の最後のシーンを思い出した。ボンネットの上に座り、昇る太陽を見ながらサンヒョンの肩に頭を寄せるテジュ。その時サンヒョンは彼らの愛を実現する方法として死を選んだ。🌅

愛というものは愚かな方法でも壮大に実現され、その本質が曇ることはない。💖

一般的なテーマを独特な視点で伝えるパク・チャヌク式の話法が恋しくなったなら、おすすめしたい新作、タン・ウェイとパク・ヘイル主演『別れる決心』だ。🎥

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