空港

私は空港に行くのが好き

今日は天気が暖かくなったかと思えば突然寒くなって、全身がハンマーで打たれたように痛む風邪をひいた日だった。翌日は試験だったが、そんなことは関係なかった。ただ図書館に座っているだけで立派だったそんな日。向かいに座って厚い専攻書を前にして窓の外を眺めていた彼女が突然私を見て言った。

“私は空港に行くのが好きだと。”

“空港?”

北海道に行って降る雪を浴びながら温泉に入りたいとか、オーストラリアに行って暑すぎるクリスマスを迎えたいとか、そんなことではなく?

“うん、空港✈️”

確かに‘空.港’だった。リスのように回る生活から少し離れた空間。他の場所より時間がゆっくり流れる空間。世界のどこに行くにも一時的に滞在しなければならない空間。旅立ちの空間。帰還の空間。世界と世界の間。

“今行こうか?”

どうせ頭が痛くて本が目に入らなかったし、彼女もかなり長い時間窓の外ばかり眺めていたから。もう少し居ても、明日の試験結果が変わるとは思えなかった。空港に行くのが好きなら、空港に行けばいい。私たちは荷物をまとめて近くの停留所から空港バスに乗った。風邪気味だった私は彼女の肩に寄りかかって空港に行く間ずっと眠ってしまった。どれくらいそうしていたのだろう?彼女は私をそっと揺り動かし、まだ眠気が残る私はなかなか開かない目で窓の外を眺めた。薄暗くなり始めた空港は広く、冷たく、寂しく、胸が痛く、孤独で、暗かった。

“寂しそう。”

ここは寂しい場所だから。旅立つ人は旅立つ人なりに、送り出す人は送り出す人なりに胸が痛むのだろう。「すぐまた会えるよ」という約束のない言葉は虚しく空中に散っていくのだろう。私は彼女の肩を静かに抱きしめた。

“また戻ろうか?”

“うん。一緒に戻れてよかった。”

“そうだね。”

今回は彼女に肩を貸しながら考えた。「試験はどうにかなるだろう。」

もちろん試験はどうにかなりませんでしたが、私と彼女は再試験を受けなければなりませんでした。時々咳をすること以外何も考えられないほどひどい風邪をひくと、その時のことを思い出します。風邪に酔って空中を歩くように、ソユーズの中を移動するように、夢を見るように訪れた空港のことです。


Comments

No comments yet. Why don’t you start the discussion?

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *